馬語手帖
馬語手帖
B6判124ページ
著者:河田桟
発行:カディブックス
以下、「はじめに」より
ウマがどんなふうに話すか、知っていますか?
鼻をブルルルッと鳴らしたり、ヒヒーンといなないたり。
そう、それもたしかに彼らの言葉です。
でもたぶん、声を使うのは全体の5%ぐらい。
ウマの会話の中心は体を使ったボディランゲージです。
耳やしっぽを動かしたり、体全体で動いたりしながら、
ウマはいつも仲間同士でいろいろな会話をしています。
たとえば「静かに草を食べている」姿の中にも、
実はたくさんのコトバが隠れています。
ぱっと見てもわからないかもしれないけれど、
たしかに彼らは話しているのです。
この、音だけに限定されないウマたちの言葉、
コミュニケーションする手段が「馬語」です。
ウマは賢い動物です。
人間が簡単な言葉や合図を教えれば、
それを覚えて、反応してくれるようになります。
あなたが愛情を持って(人間の言葉で)話しかけたり、
やさしく触ったりすれば、
ウマはそのトーンを感じ取ってくれもします。
でもそれは、あくまでも人間中心。
ウマの立場に立った会話ではありません。
その逆に、もし人間であるあなたが馬語を理解したら、
(人間だって賢い動物なのだから、やればできるはず)
さあ、どんなことが起こるでしょう。
まずウマは、「お!」と驚きます。
「このいきものはヒトのようにみえるけれど、
どうやらウマのことばがわかるようだぞ」と、
あなたに注意を向けてきます。
そして、これまでとは違う態度を取り始めます。
たとえば言葉の通じない外国に行った時、
「こんにちは」「ありがとう」とカタコトの言葉を話すだけで、
その国の人は、ぐっとあなたに親近感を持ってくれますよね。
そんな感じに近いと思います。
ウマはいろいろなことをあなたに語りかけ始めます。
この本は、馬語の世界へとつながっています。
といっても、ほんの入り口にしかすぎません。
あくまでも人間であるわたしが、
「どうもこういうことかもしれない」と
翻訳して書き留めた覚え書きのようなものです。